最近、「民主主義の危機」という言葉をしばしば耳にする。確かに世界を見渡すと、社会の分断が進み、強い指導者を求める声も高まっている。民主主義国家に生きる私たちは、これまで「大事なことはみんなで話し合って決める」のが当たり前だと思ってきた。一方で、大きな危機や複雑な問題の前では、みんなの意見をまとめあげるのは簡単ではないこともよくわかる。民主主義の何が問題なのか、私たちはこの先どうすればいいのか。現代民主主義理論に詳しい山本圭氏とともに考える。 時代とともに多様化するデモクラシーの理論 梅崎:今、民主主義のあり方があらためて問われています。 山本:そうですね。特に2010年代以降、ポピュリストの台頭が目に付きます。さらにここにきて新型コロナウイルスの蔓延により、強いリーダーシップが求められるようになりました。民主主義における指導者の問題を、もう一度考える必要があると感じています。 梅崎:ご著書