足立区…そこは文字通り東京の地の果てである。私は足立とは縁もゆかりもない人間だったが、私の仕事場はそこにあった。 さる施設の一角に我が社があり、その施設の人からも「儲かる?やっていける?」と心配される知る人ぞ知る個人経営の企業があった。(※中小でかつ、扱い上は個人企業だから保障の存在する「社員」は居なく、どこまでも「給料のいいアルバイト」にしかなれないブラック企業がそこにあった。) 私はこの企業のことを「地獄」とか「地の果て」とかそう呼んでいるが、それは足立区が東京の地の果てだから…というわけじゃない。逃げ場を失うほど失墜した者ですら受け入れてくれることからこの企業には様々な「ダメ人間」達がいる。 ある者は事業に失敗し、ある者は借金し、ある者は酒乱で仕事を転々とし、ある者は老齢から職を得られず、ある者は土着の不良、ある者はヤクザで、ある者はヤクザよりも怖い不動産営業マン(前職水商売)だった