物語を盛り上げるために、しばしば伏線が使われる。辞書的な定義もあろうが、自分なりの言葉で定義すれば、 物語内の出来事に説得力を持たせるために、あるいは出来事を効果的に盛り上げるために、事前に仕掛けておくもの、こと、事柄。 となる。 個人的に好きな伏線は、日本橋ヨヲコ先生の「G戦場ヘブンズドア」で、第一話で鉄男が町蔵に手を差し伸べたシーンを最終話で持ってきて、それを最終話の一話前での漫画の打ち合わせのシーンでメタ的に匂わせていた(ネタバレのようなものにつき反転)ものだ。気づいたときに感動した。 作品の中に埋め込まれた伏線というものを考えると、受け手は時として、作り手が作品に対して全知にして全能であると思い込みやすい。作り手は「受け手はこの伏線に気づいたときにさぞ驚くだろうな、ウッシッシ」と自覚的に伏線を張っているのだ、と。 だが、果たしてそうだろうか。本当に伏線は全て作り手の自家薬籠中のもの