全国各地で、城の再建や修復が進んでいる。本来の城は難攻不落の「バリアー」だが、いまは市民の憩いの場や観光の目玉として「バリアフリー」を求められる時代でもある。どう折り合いをつければいいのだろうか。 名古屋のシンボル・名古屋城は、昨年5月から天守への入場が禁止され、石垣が足場に覆われている。河村たかし名古屋市長が木造天守の再建を目指しているが、そこにエレベーターが設置されないことになり、障害者団体から強い反発を受けている。 名古屋城天守は徳川家康の命で1612年に建てられ、300年以上その姿をとどめてきたが、太平洋戦争末期の空襲で焼け落ちた。戦後、市民の寄付などによってコンクリート製で再建され、屋内外に計3基のエレベーターが取り付けられた。 それから約60年が経ち、耐震強度不足が問題になった。河村市長は、焼失前の天守の実測図や写真などが豊富に残ることから「寸分たがわぬ復元」を公約に掲げ、20