最初から「こども食堂」ではなかった ――「こども食堂」と聞くと、「食べられない子が行く“福祉っぽい”場所」というイメージが強いです。なぜでしょうか。 【湯浅誠さん(以降、湯浅)】「こども食堂」というのれんを最初に掲げたのは、東京・大田区にある「気まぐれ八百屋だんだん」の近藤博子さんといわれています。近藤さんが居酒屋の居抜きで借りた場所で野菜を販売し始めると、店に上がりかまちがあったことで客同士が自然とコミュニケーションをとるようになり、地域の開放スペースになっていったそうです。さらに「だんだん」では娘の勉強も兼ねて近所の子どもたちにも勉強を教える「ワンコイン寺子屋」や、大人の学び直しのイベントなんかもやるようになっていきました。 そんなとき、たまたま知人から「給食以外はバナナ1本で過ごしている子どももいる」という話を聞いた近藤さんが、子どもでも安心してごはんが食べられる場所としてオープンさ