北原梨央著 私達夫婦生活は「子どもがいないから」成り立っていたことに改めて気付いたのです。子供のいない15年間、他人に羨ましがられるほど仲の良い夫婦でした。産後一年の混沌の中で、愛情や人間的な信頼といったものが、一枚一枚剥がれて消えていくように感じました。 「生まれたらおしまい」「母親が自分のために外出したら、非難されるのが日本の社会」大抵の女性は子供を産んでしばらくしてから、この歴然とした事実に気づくものです。「こんなはずじゃなかった」気付いたときには全てが遅すぎるのです。「生む前と生んでからとでは、世界が180度違う。私自身も全く違った人間になってしまった」多くの母親達は、苛立ちのなかで、このような言葉を繰り返します。それまで彼女がどのような経歴を持ち、どのような生き方をしてきたかは、ここではあまり関係ないのです。「あるべき母親の姿」は一つしかない。 女性だって人間です。出来るだけ損な