2007年のことだったと記憶している。 鹿島のサポーターはキックオフ直前に、先発メンバー、一人ひとりの名前を叫ぶ。セリエAのメッシーナへの期限付き移籍を終え、鹿島に復帰した小笠原満男は、スタンドから自分の名前が聞こえると、軽く右手を挙げて応えるようになっていた。 それまでは、「声援が力になる」という類いの言葉を表だって口にはせず、サポーターからのコールにも反応しなかった。「結果で応える」と考える選手の大きな変化だった。 「昔はJリーグにも世界的に有名な選手が来て、リーグ全体も盛り上がったよね。彼らはお客さんを呼べる選手だったし。俺らもそういう選手と一緒にプレーして、練習して、刺激になった。 でも、今はクラブに世界的な選手を呼べるだけの体力がないから仕方がない。だから(小野)伸二とか、イナ(稲本潤一)とか、Jリーグに戻ってきているし、俺らの世代がJリーグを引っ張っていかないといけない