【カイロ前田英司】エジプトのムハンマド・モルシ新大統領(60)が6月30日、最高憲法裁判所での式典で宣誓し、第5代大統領に正式に就任した。52年の軍事クーデターで共和制に移行後、非軍人で「イスラム系」の大統領は初めて。昨年2月の前政権崩壊以降、国を暫定統治してきた軍最高評議会は大統領に行政権限を移し、公約した6月末での民政移管を取り繕うが、全権移譲にはほど遠く、大統領と軍政の主導権争いが激化しそうだ。 大統領は就任式で「憲法と法の原則を順守する」と宣言し、「エジプト国民は真の民主主義に向かう新たな一歩を歩みだした」と強調した。この後、カイロ大学で就任演説する。軍政は「憲法不在」を理由に権限を維持しており、今後は新憲法制定の行方が焦点だ。 軍政は昨年2月、前政権崩壊に伴い憲法停止を宣言。翌3月に大統領任期の制限などを盛り込んだ憲法改正案が承認されたのを受け、暫定憲法に当たる「憲法宣言」を