自民党総裁選2018 安倍政権と官僚(5) 今年5月、英国で一通の書簡に注目が集まった。教育省事務次官のジョナサン・スレーターが、教育相のダミアン・ハインズあてに送ったものだ。「実現できなかったり、結果が支出と見合わなかったりするリスクを抑えるため、政策の実施時期を1年間延ばすことをアドバイスしたい」 いまの保守党政権の目玉政策の一つで、2020年から実施予定の若年層の技能教育プログラムを先送りする提案だった。 英国では、政策判断の最終権限を持つのはあくまで大臣だが、次官は無駄遣いなどのリスクも考え、警鐘を鳴らすことができる。「公務員規範」で官僚に公平性や政治的な中立性を求め、官僚が政策の根回しのために与党議員らと接することも制限される。 英シンクタンク「インスティテュート・フォー・ガバメント」上級研究員のブノア・ゲランは「公務員が政治から距離を置いているのは歴史的な背景がある」と説く。政