SFの良さを語られるときによく使われる言葉NO.1が「センス・オブ・ワンダー」です。この曖昧な概念をちょっとここで整理しておきましょう。それと「書評とはこうあるべきだ」というなんちゃって批評論も展開します。 センス・オブ・ワンダーとは 多くの人がこのキーワードについてああだこうだ言っておりますが、個人的にセンス・オブ・ワンダーの定義でもっとも共感できたのはクリストファー・プリースト「逆転世界」の解説です。一言で言うと「認識の変革」だそうです。 認識の変革は、通常の境界を越えて、オールド・ウェーブにもニュー・ウェーブにも、ヒロイック・ファンタジーにもハードSFにも、ジャンルSFにも主流作家によるSFにもひとしなみに見られる。あまりにも強迫観念じみており、SFの感動と情熱にあまりにも密接に結びついているので、人間の根深い欲求――さらに遠くへ手を伸ばしたい、心の呪縛から逃れたたい、止まるより動い