2045年に人工知能が全人類の知能を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)を迎えるともささやかれる昨今。革命的な変化に希望を見る人々がいる一方で、AIの発展に警鐘を鳴らす科学者も少なくない。こうした時代の空気に呼応したSF漫画が、山田胡瓜氏による『AIの遺電子』だ。描かれるのは、政府や大企業が超高度AIを運用し、人造のヒューマノイドが人権を持ち、人間社会の中に組み込まれた、シンギュラリティ後の未来。人々はテクノロジーの進化によって顕現した悩みや喜びと向き合うが、その姿はどこか、我々読者が生きている現代ともシンクロする。 そんな山田氏に「SFのリアリティの原体験」を授けたのが、映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』、『イノセンス』の押井守監督。未来の人間のあり方を、義体や電脳化が実現した世界を通じて描き出し、国内外にインパクトを与えた。今回、AIというキーワードから山田