いただいたサポートは、お花を買ったり珈琲を飲んだりマッサージに行ったりなど、これからも書く自分でいられるようなことに使いたいと思います。
少々というか、かなり面倒くさい話をする。 サロン商法でネットで今ぶっ叩かれている西野亮廣氏(何が問題でどう叩かれているのかは「西野亮廣 プペル」で検索すると山ほど出てくると思うので省略する)が制作総指揮の『えんとつ町のプペル』というアニメーション映画の、アニメーションのクオリティ自体は極めて高いのである。これはちゃんと見たのでマジである。 当たり前の話で、アニメーションを実際に制作しているのは「制作総指揮・西野亮廣」ではなくstudio4℃という名高いアニメ会社であり、これは『鉄コン筋クリート』とか『海獣の子供』といった名作を過去にアニメ化してきた、日本有数に実力のあるアニメスタジオなのだ。西野亮廣がどうこう以前に、実質的な制作の大部分はstudio4℃が担当しているのだから、クオリティはそりゃ高いに決まっているのである。(西野亮廣は元になった絵本を描いたことで原作者・制作総指揮として大々
しばしば物議を醸して炎上しているお笑い芸人で絵本作家のキングコング西野亮廣が原作・製作総指揮・脚本を務め、『マインドゲーム』『鉄コン筋クリート』『海獣の子供』などで国際的に高い評価を得ているSTUDIO 4℃が制作した3DCGアニメーション映画『えんとつ町のプペル』が2020年12月25日に公開された。 絵本から大幅にシナリオが加筆されていたのだが、この加筆によって、より西野の思想の問題点を露呈させる作品になっていた。 絵本&映画『えんとつ町のプペル』とは 原作絵本は2011年頃に西野が着想を得て、14年夏に本格的な分業体制構築の準備に入り、クラウドソーシングとクラウドファンディングを使い、15年春から分業でイラストパートを製作を再開し、16年10月に幻冬舎から刊行、20年12月現在部数は57万部。 映画パンフレットによれば、絵本刊行と同時期の16年秋にはプロジェクトが動き出し、Vコンテ(
アニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』が12月25日に公開された。原作は36年前の田辺聖子の小説で、17年前には実写化もされた。今回のアニメ映画(以下、本作)は『ジョゼ』の3つ目のバージョンとなる(注1)。 これら3つに共通する部分は多い。生まれつき足が不自由な女性・クミ子。同居する祖母は彼女を案じるあまり家に閉じ込めている。そこに健常者の大学生・恒夫が奇妙な縁から関わるようになり、クミ子はやがて自らをジョゼと名乗り始める。あやうい恋を営むジョゼと恒夫。そしてジョゼから見た外界の恐怖の象徴として登場する虎……。 一方で、結末は各々違う。原作ではジョゼは歪な関係性の中に束の間の幸福を見出す一方、破局の予感もはっきりと持っている。実写では恒夫が親に結婚を言い出せず、やがて逃げるように去る。
「作者と作品は切り離して考えるべき」 これは例えば人気作家がSNSで炎上した際に、俳優の逮捕が報じられた際に、毎回のように挙がる話題だ。 そもそも、作者の人間性と作品の質に関係性を見い出すのは、非常に困難である。 性格がどうしようもなくクソな人からも世紀の大傑作は生まれる可能性はあるし、その反対に、誰からも愛される人が誰からも愛される作品を創造出来るとは限らない。 僕自身も「作者と作品は切り離して考えるべき」は正論だと思うし、そういう見方で作品を鑑賞したいと常々思っている。 そう、常々思っていたんだ。 アニメ映画『えんとつ町のプペル』に出会うまでは。 この『えんとつ町のプペル』の原作は、5000部でヒットと言われる絵本業界で「大人も泣けるストーリー」として話題を集め57万部を超える大ヒットとなった同名の絵本である。 絵本は西野亮廣を監督として33人のクリエイターが分業し、完成した。 映画で
TENET テネット(2020) TENET 監督:クリストファー・ノーラン 出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、アーロン・テイラー=ジョンソン、ケネス・ブラナーetc 評価:|80|点(絶対値80点) おはようございます、チェ・ブンブンです。 2020年、コロナ禍により軒並み大作が公開延期し、映画ファンにとって祭映画が何ヶ月もお預けとなってしまった。そんな最中希望の星として2020/09/18に『TENET』が日本公開された。『インセプション』、『ダンケルク』で毎回賛否両論を巻き起こすクリストファー・ノーラン最新作だ。クリストファー・ノーラン映画は好き嫌いが分かれる。私も割と相性が悪いのですが、その相性の悪さはアルフレッド・ヒッチコックと似ている気がする。ヒッチコックは、「登場人物の行動原理を観客が気にする前に展開を与える」ことを美徳として
『公研』2020年8月号 第 606 回私の生き方 富野 由悠季・アニメーション監督 父への疑念 ──「富野由悠季の世界」展が昨年6月より開催されています(現在中断中、再開は9月の予定)。 富野 今回の「富野由悠季の世界」展で「与圧服」の写真を展示しています。これの開発に父が関わっていて、家に資料が残っていました。 この機会でしかできない話を一つさせてください。父の経歴についてです。父は昔の中学を卒業したあと、東京府立化学工業学校(化工)という専門高等学校へ進んでいます。父のアルバムにあった化工の写真を見ると、3階建てのコンクリート校舎の中央に時計塔があり、石積みの外壁の正面には三つのアーチ状の飾りが施された扉がある立派な建物でした。その前に軍人たちが集まっている写真は、子供の頃は軍の部隊写真だと思っていた。ところが、父は「俺の学校なんだ」と言っていました。 僕はそのアルバム写真を子供の頃
映画館ではなく、ホールや公民館、学校、イベント会場などで映画を見た経験はありますか。 上映される作品は、社会派ドキュメンタリーや過去の名作、子ども向けアニメ…。主催は自治体や自治会、●●実行委員会などさまざまだが、これらの映画がどのような仕組みで上映されているかご存知だろうか? そんな場合かなりの確率で、チラシにもパンフレットにもまず名前が出てこない、各地のという配給会社の存在があるのだ。 映画センター全国連絡会議は、各地の映画センターを束ねる組織。議長の竹内守さんは、京大生時代に映画の世界にのめり込み、老舗の映画センターである株式会社京都映画センターに入社した。現在は同社の社長と同時に全国連絡会議の議長を務めている。 「配給会社」という、我々が普段、あまり意識することのない存在。どのようなビジネスを展開しているのか、竹内さんにお話を伺った。 映画館がないのなら、映画を届けよう映画センター
天気の子を見に行った。 楽しかった。しかし、なぜかものすごく不安になった。 さらに、なぜかものすごく「君の名は」を再び見たくなった。 そして、その夜は、さっぱり眠れなかった。 てっきり襲ってきた台風15号のせいだと思っていた。 しかし、それは違った。鑑賞から数日経った今ならわかる。 私はずっと、森嶋帆高に恐怖していたのだ。 その理由がさきほど自分の中で腹落ちしたので、備忘のためにここに記す。 つくづく新海監督の作品には、私のような末端の視聴者にさえ何かを語らせてしまうだけの力がある。 先に書くが、ネタバレ満載だ。もし見ていない方がいれば、速やかにブラウザバックされたし。 さて、私は、新海監督が本作品を企画するにあたり、当初結末を3パターン想定していたと推測している。 私が推測する想定結末3パターンは以下の通りである。 1)陽菜が消える 2)陽菜が戻り、狂った天気は全て元通りになる。(調和の
社畜です。仕事があるだけでありがたい!GWは休みなし!コロナなんて関係なし! わずかな楽しみの映画館もしまってるし!休みないから映像見放題とかもできないし! でも映画の話するだけで今は癒されるから付き合ってくれ(今更かもしれないけど) 【舞妓はレディ】 和製ミュージカル!まだ君の名を呼んでいない無名の上白石さんだったので全然売れなかったんだが、監督は「Shall we ダンス?」の周防さん。しっかりとした作りの中に往年の古典的なアメリカミュージカル要素を取り入れて舞妓姿で踊るのがいいんだよ。京都の雨は大体盆地に降るんやで~♪音楽もキャッチー! 【探偵はBARにいるシリーズ】 3作あるんだけど全部毛色が違うんだ!とりあえずアクション!バイオレンス!探偵が女に惚れる!高田ターミネーター!これだけ覚えとけばオッケー! 東映の社長がなんとしてでも続けるとほれ込んだ最高の邦画シリーズだから見ろ。どう
表題の通りだから、まずエンドゲームを見て満足した、俺は楽しかったという諸君は腹を立てずにブラウザバックで帰ってくれ。 この記事は、そんな諸君らの楽しかった思い出を汚すためのものではない。 諸君はマジョリティである。 このコンテンツを楽しめたことを喜んで思い出にしまい、あんなところで喚いているやつらがいるぜと笑って忘れるぐらいで良い。 ここは薄暗い地下室、もしくは深夜の教会よろしく被害者の会、互助会の場だ。悲しみについて語り合うセラピーの場だ。 マイノリティーの苦しみを吐き出し、同じ苦しみを同志達で分け合い慰め合う湿っぽい場なんだ。今にも泣き出しそうな、怒りで握った拳に血管が浮かび上がった君にこそ、このパイプ椅子を差し出したい。 さぁ、座って。じゃあ私から話し始めていいかな? 私は映画を作る人々に敬意を評している映画を作るのはとても大変な作業だ。恥ずかしながら、私も若い頃は映画好きが講じてな
“のん”こと能年玲奈主演の『この世界の片隅に』に多くのシーンを追加した『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』が12月20日に全国公開された。同日に「スター・ウォーズ」の最新作が公開されたこともあってか、劇場の小屋が割ききれず、まだ行き渡っていない都道府県もあるため、お住いの地域によっては公開されるまで首を長くして待っている人もいることだろう。首を長くする時間も待ちきれず他県に足を運ぶ人もいるかもしれない。 本作は2016年に公開された『この世界の片隅に』に40分の追加シーンを用意したいわゆる「完全版」で、2018年の12月公開予定だったものが大幅な制作の遅れから1年の時を経てようやく日の目を見ることになった。本作で追加されたシーンでは、主に主人公の浦野すずが嫁ぎ先の呉で出会った遊郭の女性リンをはじめ、サイドキャラクターとの交流を深堀りしており、おおむね原作の流れを完全再現した内容になって
エルサの「自己実現」はどう描かれる? 2013年に大ヒットを飛ばし、文化現象と言えるほどの影響力を持つようになったディズニー映画『アナと雪の女王』の続編である『アナと雪の女王2』が11月22日に公開された。この原稿を書いている12月9日時点でもヒット中で、世界興行収入は9億ドルを超えた。 この続編については賛否両論あるが、現時点で映画のレビュー点数化サイトであるロットントマトズではプロの批評家による評価が78%、それ以外の観客の評価が92%で、人々はおおむね満足して映画館から出てきていると言える。 本レビューの著者は、第1作について「理想宮か、公共彫刻か?――『アナと雪の女王』」という批評を書いたことがある。そこで指摘したのは、ヒロインのひとりであるエルサが一度は捨てた故郷アレンデールに戻り、女王としてのつとめを果たすことを決意するという結末は幸せと言えるのか、ということだった。 エルサは
分割しても読みづらいので、9000字超えと長いが一気にやります。 maoukpp.hatenablog.jp この記事(概論と『新・鉄人兵団』)の続き。第2期ドラ映画は全て、2019年以降に観た。 のび太の恐竜2006(2006年) のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜(2007年) のび太と緑の巨人伝(2008年) 新・のび太の宇宙開拓史(2009年) のび太の人魚大海戦(2010年) 新・のび太と鉄人兵団(2011年) のび太と奇跡の島 〜アニマル アドベンチャー〜(2012年) のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)(2013年) 新・のび太の大魔境 〜ペコと5人の探検隊〜(2014年) のび太の宇宙英雄記(スペース・ヒーローズ)(2015年) 新・のび太の日本誕生(2016年) のび太の南極カチコチ大冒険(2017年) のび太の宝島(2018年) のび太の月面探査記(2019
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています 公開初日の六本木ヒルズ。ほぼ満員の客席、20代から30代と思しき方々がパンフレットを手に「ドラクエ映画」を談笑しながら待ちわびていた。 「ビアンカとフローラどっちを選ぶのか」「どこまで忠実にドラクエができるんだろう」「ピエールは出るかな?」。本作はシリーズ屈指の名作でありながら、幼年期・青年期・その後と主人公の人生そのものを追体験するかたちで描かれる「V」の映画化ということもあり、観客、すなわちプレイヤーそれぞれの個人体験が根付いてしまっているような作品である。そのため公開前に語りたいことも多かっただろう。自分もその1人だ。 「1時間40分でアニメ化するなら幼年期はほぼカットだろうな」とか、「ほぼダイジェストにはなるだろうけど、結婚には時間を割いてくれるんだろう。原作のこのネタがあったらうれしいな」という淡い期待を持ちながら(監督・
こんにちは、俺です。 先日Twitterで大暴れしてしまいましたが、映画「ドラゴンクエスト・YOUR STORY」見てきました。 内容や感想・評判についてはもうネット上・SNS上で死ぬほど見れると思いますし、だいたい同じような意見だったりもするのでそのへんは割愛しますが、ネット上の評判でまだあまり語られていないポイントである「CGの話」を少ししたいと思いました。 ・CGそのものはすばらしかったこれはもうさすが白組さんを始めとした各有名プロダクションが作ってるだけあるなと思いました。大掛かりなシーンや戦闘シーンなど、大規模カット部分はもう言うまでもなく悔しいとか思うレベルでもなく素晴らしい出来なのですが、例えば ・樽が落ちてきたときの水しぶきの表現、特に水滴系の動き ・ルドマンが持っていた杖の宝石の質感や占いババァの持っていた怪しい薬の質感ライティング ・スライムのSSS感やゲレゲレの毛並み
観てきました。 感想を書くべき作品だと感じたのでこうして記事にさせていただきました。 以下記事を読む前の注意点 映画の核心を含むネタバレがあります 約12000字の長文です 辛口評価です 同時期に公開された『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』の内容に触れて比較する箇所があります 以上を承知の方のみお読みください。 まず最初にこれだけは誠意を以て伝えます。 この映画は親子連れで観に行ってはいけません。 もしかしたら世のお父さんお母さんは、上映後に瞳を輝かせている子供に対して「これがぼくわたしが昔夢中になってたゲームなんだよ」とちょっぴり自慢げに語る情景を想像しながらこの映画を観に行く計画を立てているかもしれませんが、そのような光景を実現することは不可能です。 この映画はドラクエ5をプレイしたことがない子供が観ても楽しめないし、お話を理解することができません。 この作品は
(約27500字) (注1)有料記事になる前に、投げ銭を頂いた方で、その後記事が読めなくなってしまった場合、ご連絡下さい。個別にテクストをお送りします。お手数をかけます。sssugita@hotmail.com (注2)この文章を大幅に加筆修正して、また北野武/ビートたけし論を加え、三本の対談座談を行って、一冊の本として『人志とたけし』(晶文社)を刊行しました。よければ手に取ってみてください。 1 以前、渋谷のシネコンで実写版『ジョジョの奇妙な冒険』を観たあと、何だか晴れ晴れとしない気分のまま、居酒屋で映画プロデューサーのK氏と雑談をしていて、積年の小さな疑念がぱっと晴れた、と感じた瞬間があった。たしか北野武の映画について話し込んでいた流れだったが、かつてお笑い芸人を目指していたというK氏は、こんなことを言ったのだ。「松本人志は天才ではありません、あの人はどこまでも普通の凡人なんですよ、杉
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