「すそ」というのは、いざなぎ流の言葉なのだそうだが、呪詛と書いて「すそ」というのだそうだ。 まだ目に見える形では災厄とはなっていない『すそ』つまり『ケガレ』 小松和彦著 日本の呪い「闇の心性が生み出す文化とは」非常に聞き慣れない言葉なのだろうが、漢字にすると何となく見えたかと思う。しかし、この漢字から来るイメージよりも、”すそ”という言葉はもっと漠然としているのだと思う。 人には多かれ少なかれ、誰かを恨んだり、妬んだり、はたまた呪いたくなる心性がある。『あいつがいなくなれば(死ねば)、自分の成績の順位(会社の地位)が上がる』と思ったり、人の足を引っ張ってでも出世しようとする同僚や、ことあるごとにいじめる同級生に対して『不幸になればいい』などと思ったりすることは、現代の複雑な人間関係にあってはさして珍しいことではないだろう。これは、『怨念』と呼んでもいいものである。この本では、こうした人間の