「江戸前」の魚はなぜ美味しいのか (祥伝社新書199) 作者: 藤井克彦出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2010/04/01メディア: 新書 クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を見るカバー裏には「江戸前の魚が食べたくなる東京湾ガイド」とあるが、じっさいは丁寧に書かれた江戸前の海と東京湾内湾についての「文化誌」である。「文化誌」とした理由は、本書が対象としているのは美味しく食べることができる魚介についてであり、けっしてグルメ本や生物図鑑のようなものではないからだ。ありふれたタイトルを付けられて損をしている本である。 近年、人の生活と生き物の関わりについては「生き物文化誌学会」が素晴らしい仕事をしている。日本人ならではのアプローチだ。本書は奇しくもそれと並行して書かれた文化誌なのだ。 第1章はいささか長く、込み入った感のある「江戸前の定義」である。本書のタイトルと比較して唐突