18日で発生から1カ月となった京都アニメーションの放火殺人事件で、逮捕状が出ている青葉真司容疑者(41)=さいたま市=は、7年前に強盗事件を起こして服役した際、出所後に福祉サービスへと橋渡しをする国の「特別調整」の対象になっていた。再犯防止を目的につくられた制度で支援を受けながら、結果的には凄惨な事件を防げなかったことになる。制度の現状や課題について、九州大大学院法学研究院の武内謙治教授(刑事政策)と、更生保護施設を運営する社会福祉法人「南高愛隣会」(長崎県)の田島光浩理事長に聞いた。 ■福祉につなぐ制度意義 九州大大学院法学研究院 武内謙治教授(47) 居場所がなく、犯罪を繰り返す高齢者ら自立困難な受刑者の出所後の支援が深刻な課題とされた中で、刑事司法から福祉へとバトンタッチする特別調整の枠組みが構築された。制度の対象者と福祉との接点をつくり出した意義のあるシステムだ。導入から今年で丸1