誰かの「やめた」ことに焦点を当てるシリーズ企画「わたしがやめたこと」。今回は、編集者の藤田華子さんに寄稿いただきました。 実家の家族に毎日電話をし、ときには高額な贈り物をしても、どうしても家族を大切にしている実感が持てなかったという藤田さん。周りからの「話を聞くだけでいいんだよ」というアドバイスにも半信半疑だったものの、「ただ話を聞くこと」の難しさや深みを知るにつれ、徐々に「聞く“だけ”なんて意味がない」という考え方から脱却していったといいます。 「聞くだけ」も愛情表現である、と思えるようになるまでの過程を書いていただきました。 *** どうすれば、大切な人を大切にしていると思えるだろう? 驚かれることが多いのだけれど、私はほぼ毎日、離れて暮らす母と祖母に電話をかける。朝か夜に10分ほど。「元気?」とか「晩ごはん何食べた?」とか、他愛もないことを喋るだけ。 友人はそんな私を不思議がる。詳細