私がなぜ着物を作っているのか。そして、和服を中心に扱っている人間がなぜこのオウプナーズのファッションカテゴリーに入っているのか。興味をおもちのかたもいらっしゃるかと思います。 幼少のころから衣服に興味をもち、これまで洋服づくりから素材づくりまでさまざまな環境で学んできました。なかでもいちばん強く影響を受けたのは、大学で学んだ日本の伝統染織文化です。日本の染織技術は、美しい着物を生み出すために発展したといっても過言ではありません。 大学在籍中、洋服をつくる技術とあらたに身につけた伝統染織技術を単純に組み合わせた、「友禅染めのジャケット」や「型染めのシャツ」をつくっていた私は、卒業制作に何をつくるのかを決断するさい、自分のこれまでにつくったものを客観的に見て気づいたことがありました。それは、着物のための染織技法を安易に洋服に転用することは、私にはまだ早いということでした。その技法がなぜ生