製薬各社が、人間のタンパク質や遺伝子の働きを生かして作る「バイオ医薬品」の開発を加速させている。副作用が少なく、がんなどの疾患領域に有効な新薬として需要増が見込まれるためだ。先行する中外製薬などのメーカーに続き、大手にも商品化の動きが広がってきた。開発競争の激化は激動の製薬業界のさらなる再編の火種になりそうだ。(中村智隆) 「(スイス製薬大手の)ロシュとのさらなる連携強化によって、世界トップバイオグループとして成長を続けたい」 ロシュ傘下の中外製薬の永山治社長は、8日に東京都内で開いた経営説明会でこう強調したうえ、「2010年代後半には国内トップ製薬企業になる」と意気込んだ。 同社は02年に世界のバイオ医薬品をリードするロシュの傘下に入って以降、抗がん剤の「アバスチン」「ハーセプチン」などを導入し、自社開発の関節リウマチ薬「アクテムラ」を発売するなど、バイオ医薬品を中心に売り上げを伸