住むところは人の悟性を育てる。 地面とつながる暮らしにこだわりたい。 「機動戦士ガンダム」の生みの親として知られ、数々のロボットアニメーションの監督や原作を手がけてきた富野由悠季さん。その作品は社会現象を巻き起こし、根強い熱狂的なファンをもつことでも有名です。今回はご自宅を訪問し、「私の流儀」についてお話を伺いました。 ご挨拶が済んだところで開口一番、「まずは私が一方的にしゃべります。いいですね」と、富野さん。もちろんです、設計担当をつとめた谷本繁彦をはじめ一同が頷いて、取材がスタートしました。 「家づくりにとりかかったのは10年前、60歳を超えたときです」 富野さんは、細かなところまですべて覚えている様子で、語り始めました。 「いちばんに考えたのが立地でした。これはどうしても譲れなかった。この先ずっと仕事をさせてもらえるとすると、クルマに乗らないで、歩いて無理なく職場と行き来できる場所が
