イスラエルのエルダン国連大使は10日、国連総会の壇上でパレスチナの加盟を支持する決議案に反対する意思を示すため、小型のシュレッダーを使って国連憲章を細断した。国連の基本文書である国連憲章は、「国際の平和と安全を維持する」など設立の理念や加盟国の権利などを定めている。 エルダン氏は決議案の投票に先駆けた演説で、各国の大使らに向かって「あなたたちは現代のナチズムに国連を開放した」「(イスラム組織)ハマスによる将来のテロ国家に特権を与えようとしている」などと批判した。最後に携帯用のシュレッダーを持ち出して国連憲章の表紙を切り刻むと、「恥を知れ」と吐き捨てるように言って壇上を後にした。 国連のハク副報道官は同日、加盟国大使による個別の言動にはコメントしないとしつつ、「今も昔も加盟国による芝居がかったプレゼンテーションはあった」と言及。国連憲章の冊子を手に取り、「国連憲章の理想は無傷だ。この組織が存
2021年2月から始まった公費によるワクチン接種は24年3月で終了した。総接種回数(4月1日時点)は約4億3620万回に上り、国による大規模な予防接種事業は一旦区切りを迎えた。ただ、ワクチンの安全性に対する評価制度には課題もある。厚生労働省は現行制度のままで十分なのか検討を進めている。 厚労省が有識者で作る「副反応検討部会(以下、検討部会)」では、ワクチン接種の安全性を評価するため、重篤な副反応が疑われる事例などを報告するよう医師に求めている。仮に重篤な被害の報告が相次げば、個別の因果関係や頻度などを総合的に判断した上で、安全性評価の観点から注意喚起したり、接種体制の見直しを求めたりする。 医師から報告された事例は、独立行政法人・医薬品医療機器総合機構で専門家が因果関係などを審査し、因果関係が否定できなければ「α」、認められないと「β」、評価不能なら「γ」の三つに分類する。その結果を検討部
岐阜県美濃加茂市議会の永田徳男(のりお)副議長(71)が4月、姉妹都市の豪州・ダボ市の市長らを招いた歓迎会の2次会で、市長の娘の下半身にカラオケマイクを近づけるセクハラ行為をしていたことが7日、市関係者への取材で判明した。永田氏は毎日新聞の取材に「一生懸命に場を盛り上げようとしていた。不快な思いをさせてしまい大変申し訳ない」と陳謝した。 複数の関係者によると、ダボ市のマシュー・ディカーソン市長は4月3日、一緒に来日した家族らとともに美濃加茂市を訪れていた。同日夜に市内の飲食店で開かれた歓迎会の2次会で、永田氏はカラオケで歌いながらディカーソン市長の娘の股間にマイクを近づけたという。 同席した別の市議が当時の様子を動画撮影しており、ディカーソン市長の娘がけげんな表情を見せる瞬間も写っていたという。藤井浩人市長や森弓子市議会議長らも永田氏の不適切行為をこの動画で確認した。 藤井市長は4月24日
「書店は本を介して主張と主張が正面からぶつかり合って闘う『言論のアリーナ』であるべきではないか」と語る書店員の福嶋聡さん=大阪市北区で2024年4月16日、梅田麻衣子撮影 始まりは10年前のあるイベントだった。 「それでも、書店の人間として『ヘイト本』を書棚から外すという選択はしません」 丸善ジュンク堂書店で働く福嶋聡さん(65)はそう公言してから、「ヘイト本を外さない理由」を自問してきた。隣国への憎悪をあおる、いわゆる「ヘイト本」には批判的な立場だ。だけど、書店人として排除はできない。ならば闘ったら? 悩みながら「言論のアリーナ(闘技場)としての書店」という考え方にたどりついた。 傍観ではなく、中立でもない。「アリーナ」とはどんな場なのだろう。新著『明日、ぼくは店の棚からヘイト本を外せるだろうか』(dZERO)を刊行した福嶋さんに聞いた。 「ヘイト本」規制にNO 2014年12月、大阪市
元内閣官房参与で経済学者、嘉悦大教授の高橋洋一氏(68)が12日に自身のX(旧ツイッター)を更新。ドジャース・大谷翔平投手(29)の元専属通訳で違法賭博問題と多額の窃盗によって球団から解雇された水原一平容疑者(39)が刑事訴追されたことについて触れた。 スポーツ専門局「ESPN」は訴状の内容として、水原容疑者が2021年12月から今年1月まで、1日あたり平均25回、1回当たり10ドル(約1500円)から16万ドル(約2400万円)の範囲で賭けをしており、合計約1万9000回の賭けを行ったと報道。 当局が入手した資料として、水原容疑者の賭博記録には、この期間中の合計賞金は総額1億4225万6769ドル(約218億円)で、負けた金額は1億8293万5206ドル(約280億)で、損失額は4067万8436ドル(約62億円)にのぼるという。 この件について、高橋氏は「ここまで酷いとは。大谷さんが悪
米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手(29)の銀行口座からブックメーカー(賭け屋)に不正に送金したとして11日に訴追された元通訳の水原一平容疑者(39)。日本の国税庁にあたる米内国歳入庁(IRS)の文書には、暗号化されたメッセージアプリを通じた賭け屋との生々しいやり取りの一部が記載されている。 「おいイッペイ。金曜日の2時なのになぜ電話に出ない。今ニューポートビーチで(大谷選手が)犬と散歩しているのが見えるぞ。彼のところへ行って、どうすれば君と連絡が取れるか聞いてみようか? すぐに電話をくれ」 2023年11月、連絡が滞ったことにいらだった賭け屋は、水原容疑者にこんなメッセージを送っていた。これに対し、水原容疑者は「超忙しかった」などと釈明。それまでのやり取りでは、賭け屋に信用取引枠の上限を上げるよう再三依頼していた。「私が金を払わないことを心配する必要はない!」と伝えたこともあった。賭け
日銀は3月、異次元緩和からの転換に踏み切った。ただ、2017~22年に審議委員を務めたPwCコンサルティングの片岡剛士チーフエコノミストは「早すぎる選択だ」と批判する。任期中は異次元緩和の更なる強化を訴え続けていた片岡氏の目に、今の日銀の姿はどう映っているのか。 ――日銀が17年ぶりの利上げを決めました。 ◆決めるのは4月25、26日の金融政策決定会合でよかった。(4日開催の)日銀支店長会議で最新の地域経済の動向を聞き、4月の決定会合で同時に公表する(日本経済の中長期の見通しを示す)展望リポートの内容も踏まえ、物価上昇率が前年比2%程度で推移する根拠をしっかりと説明してから決めた方が理解を得られやすかったはずだ。 また、中小企業への賃上げの波及は6月を待たないと分からない部分が多い。合理的理由がなく、なぜ3月に先走って決断したのか理解できない。明らかに早すぎる選択だ。 景気回復、消費者の多
試験でのカンニングが発覚後、自殺した高校2年の男子生徒のノート=大阪府で2024年3月4日、滝川大貴撮影 進学校で知られる私立清風高校(大阪市天王寺区)の男子生徒(当時17歳)が試験でのカンニング後に自殺したのは、教師らの不適切な指導が原因だとして、両親が近く、学校側に計約1億円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こす。両親側は、教師らがカンニングをする人間を「ひきょう者」と表現していたことが生徒を心理的に追い詰めたと訴えている。 一方、学校側が設置した第三者委員会は、指導と自殺との因果関係を否定している。 訴状によると、高2の生徒は2021年12月、倫理・政経の期末試験でカンニングをしているのが監督官に見つかった。別室で複数の教師に叱責され、全科目0点▽自宅謹慎8日間▽写経80枚▽反省文の作成――といった処分を受けた。生徒は2日後、自宅近くで倒れているのが見つかり、死亡が確認された。遺書
月面に着陸した探査機SLIM。手前左下に映っているのはSLIMから分離された小型ロボット=JAXAなど提供 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は26日、月面に着陸し休眠状態に入っていた小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」と再び通信に成功したと、文部科学省の宇宙開発利用部会で報告した。日本時間1月20日に月面着陸後、同31日に着陸地点が夜になり、月面で予定していた活動を休止していた。再び日が当たり、太陽光発電に必要な電力が得られる条件になり、通信が再開したとみられる。 JAXAの坂井真一郎プロジェクトマネジャーによると、25日午後7時すぎ、SLIMからデータを受信した。機体に取り付けた通信機器の温度が非常に高かったため、短時間の運用で通信を終了したが、坂井氏は「少なくとも(低温の月の夜を越える)『越夜』を経て、探査機の最低限の機能を確認できた」と述べた。 月では約2週間ごとに昼と夜が入れ替わ
能登半島地震の被災地で、JR東日本の交通系ICカード「Suica(スイカ)」が避難者情報の把握に一役買っている。デジタル技術を使ったサービスが被災地支援につながった形だが、河野太郎デジタル相にとっては素直に喜べない事態となっている。 「避難所スイカ」の評判は? 2月7日、石川県志賀町の2カ所の避難所で被災者に無償配布したスイカによる運用が始まった。県庁のサーバーに、あらかじめ被災者から聞き取った名前や住所などを登録。これにスイカの番号をひも付けることで、利用者が避難所に設置した読み取り機にカードをかざすだけで、各避難所の利用状況が県庁で集約できる仕組みだ。 県によると、避難所を利用する被災者の中には、夜間は自宅や車で一夜を明かすなど避難所を離れるケースが多い。避難所は支援物資の配布拠点ともなっており、日々の利用状況が分からなければ適切な配布も難しいという問題もあった。 スイカを利用すること
カールソン氏(左)のインタビューに応じるロシアのプーチン大統領=モスクワで6日、スプートニク通信・AP 米保守系FOXニュースの看板キャスターだったタッカー・カールソン氏は8日、ロシアのプーチン大統領との単独インタビューの動画を自身のウェブサイトなどで公開した。プーチン氏は米国に対して「もし本当に戦いを止めたいのなら、武器供与をやめる必要がある。(そうすれば)戦争は数週間で終わる」などと持論を展開した。 カールソン氏によると、インタビューは6日夜、モスクワの大統領府で約2時間にわたって行われた。ウクライナ侵攻がメインの議題だった。ロシアが2022年2月にウクライナに全面侵攻を開始して以降、プーチン氏が米国側の公式インタビューを受けるのは初めてとみられる。
イスラエルが占領を続けるパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区では、パレスチナ人の村全体が破壊される事件も起きた。 西岸南部の丘陵地帯にあるザヌータは約300人のパレスチナ人が羊やヤギの牧畜をしながら暮らすのんびりとした村だ。ところが昨年10月のガザ紛争開始後、近くの入植者による襲撃が相次いでいる。入植者らは銃を向けて脅迫し、村の貯水槽を破壊したり、住宅の窓ガラスを破壊したりした。武器を持たない住民は抵抗できず、何度も暴力を振るわれた。 住民のファイエズ・テルさん(54)は証言する。「入植者に言われました。ここはイスラエル国家の土地だから出て行け、と」。住民は命の危険を感じ、同11月に近くの町に避難した。だが入植者は再び村を襲撃し、重機で住宅や学校を完全に破壊した。今年1月中旬に記者が現地を訪れると、建物の残骸だけがあった。 この事件でも、警察は本格的な捜査をしていない。イスラエル軍は村が破壊
名古屋市立小学校の男性教諭(40代)が、2019~21年に同僚の女性教諭(20代)と学校内で性行為をしていたことなどを女性本人から学校側に告発され、自主退職していたことが関係者への取材で明らかになった。 女性教諭が23年1月に所属先の小学校に提出した報告書などによると、2人は19年4月、6年生(2クラス)の担任となり、男性は学年主任だった。 当時、男性は既婚、女性は未婚だったが、男性教諭が女性教諭に好意を抱き、19年7月から男性教諭が他校へ異動する21年春まで、校内で日常的に胸や尻を触っていたほか、男子トイレ内での性行為、裸の写真や下着姿などのわいせつ画像の送信要求などを繰り返していたという。
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