2006年9月25日,オンライン・ゲームの仮想世界でアイテムをだまし取った人物が,現実の世界で詐欺の疑いで逮捕される,という事件が起こった。詳細は後述するが,この事件は,仮想世界のアイテム同士の交換で発生した案件であり,現金そのものがだまし取られたわけではない。仮想世界の台頭が叫ばれて久しいが,仮想世界で現実の犯罪が生み出されるまでのプロセスと舞台装置について,少し考えてみたい。 ゲーム内のアイテムが現実の財産と見なされる オンライン・ゲームの仮想世界を舞台とするユーザー同士のイザコザは,決して珍しいものではない。仮想世界に存在するアイテムや仮想通貨は仮想世界内で日常的に取引されており,取引に際して相手をだまして不当に利益を得るケースが後を絶たない。しかし,これまでは,現実世界の犯罪にまで発展したことはなかった。今回の事件が意味していることは,現在の仮想世界のビジネス・モデルは十分に進化し
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