中国の新疆ウイグル自治区の区都、ウルムチ市で起きた暴動は1000人以上の死傷者を出す大惨事となった。背景には、先住民のウイグル族と移住してきた漢族との根深い対立、さらにいえば、中国政府が漢族支配を中心に推進してきた少数民族政策のほころびがある。ウイグル問題を検証する。(北京 矢板明夫) ◇ 同自治区は中国北西端に位置し、全土の約6分の1に当たる166万平方キロの広大な面積を持つ。2008年の人口は国全体の2%弱の2100万人余だ。 核施設を抱える戦略拠点で、石油、希少金属など天然資源にも恵まれ、カザフスタンなど中央アジア諸国との石油パイプラインも通る経済の要衝でもある。 1949年の新中国建国までは主な先住民はウイグル族、カザフ族、キルギス族で、政府の移民政策により急増した漢族が今や、自治区人口の40%を超す。 高度成長から取り残されており、2008年の自治区の都市住民の