● ある作家をたとえるのに、先輩作家をあげるのはよくあることです。荒山徹は「山風と隆慶」、中国での山風は「日本の金庸」とか。でもこれってキャッチフレーズを考える人の「この作者のファンなら、はまるんじゃないの」という希望的観測でしかないわけで。 個人的な考えを言わせていただければ、荒山徹は山田風太郎が魔界転生した作家であるとか、似ているというのはあんまり的を射ていない気がします。 巷で「これって山風ぽい!」と言われることというのは、イカニモな荒唐無稽であり、「隆慶ぽい!」のは豪快さじゃないかと思うのです。隆慶先生についてはそんなに語れるほどの愛読者ではないので省きますが、一般的な「山風ぽさ」とは忍法帖における無茶苦茶なバトルパターンおよび忍法と認識されていると思います。 でも山風先生の山風先生たる所以とは、そういう表面的な部分ではなくて歴史観や価値観です。山風先生はおそらく極上のマゾヒ