大隅良典氏がノーベル生理学・医学賞を受賞し、今年も盛り上がるノーベルウィーク。次の注目の的は、文学賞の有力候補とされる村上春樹氏だ。作品は世界的な人気を誇り、毎年のように「本命」として名前が挙がるが、いまだ栄誉には届いていない。さて、今年は――。三度のメシより読書が好きな鵜飼哲夫・読売新聞編集委員が解説する。 ブックメーカー人気 ノーベル文学賞が10月13日発表と予想され、今年もまた村上春樹フィーバーが起きている。英国のブックメーカー(賭け屋)の予想では、村上氏は今年、多くが一番人気で、web上では、「ことし受賞する可能性が最も高い候補となっています」などと報じられている。 では、実際のところ、どのくらい受賞の可能性があるのか? 村上氏はその作品が50を超える言語で翻訳されている世界的ベストセラー作家だから知名度も高いが、その人気がそのまま文学賞につながるかというと疑問が多い。記者としては