<安倍前首相の誤りは、憲法を書き換えさえすれば日本が「普通の国」になれると考えたことだ。本誌「ドイツ妄信の罠」特集より> ドナルド・トランプが4年前のアメリカ大統領に当選したとき、日本の安倍晋三前首相は世界の首脳の中でいち早く、そしていささか大げさに祝福した。 安倍がゴルフ場でトランプにお世辞を言っていたのとは対照的に、ドイツのアンゲラ・メルケル首相の態度はかなり冷ややかだった。メルケルはトランプへの祝辞の中で、民主主義、法の支配、人種・性別・性的指向の平等といった理念を共有するのであれば、ドイツは次期政権と力を合わせたいと述べた。 なぜ、日独の首相のトーンにこれほど明確な違いが表れたのか。 当然、実利的な理由もある。ドイツはNATOとEUのメンバーだ。それに対し、日本は自国の安全保障を日米安保体制にほぼ全面的に依存している。安倍としては、自由や人権についてアメリカに説教することで、アメリ