2021年2月から始まる大河ドラマ「青天を衝け」。その主人公は、新・一万円札の顔に選ばれた渋沢栄一だ。彼は500社にも及ぶ企業を生み育て、600の社会福祉公共事業に携わった、まさに「近代日本経済の父」。もともとは官界にいたが、実業界の人材不足に危機感を覚え、33歳にして自ら民間に転じた経歴を持つ。明治維新という激動の時代に日本経済の礎を築いた彼の哲学から、現代のビジネスパーソンは何を学ぶべきか。渋沢栄一の出身地である埼玉県の大野元裕知事と、渋沢栄一の玄孫・渋澤健氏が語り合った。 近代日本経済の父が語った「合本主義」の中身 大野 「近代日本経済の父」と呼ばれる渋沢栄一ですが、実は、資本主義という言葉は使っていなかったそうですね。 渋澤 そうなんです。栄一は「合本主義」という言葉を使っていました。若い頃の彼は、一生懸命働く民衆から御用金を取り立てる幕府に憤りを感じ、尊皇攘夷思想を強めていました