今まで4回に分けて山県信敬 著『少年満洲事変と上海事変』(昭和11年刊)の内容を紹介してきたが、今回はその最終回で、著者が当時の主要国の外交姿勢について述べている部分を紹介したい。この本は青少年を対象に書かれている本であり非常に読みやすく、かつ分かりやすく、内容についても今の高校生の教科書などよりもはるかに具体的でレベルも高い。戦前の平均的な日本人が世界情勢についてどう捉えていたかを知るうえで参考になるのではないだろうか。 アメリカの外交政策について 本書の第十四章に当時の主要国の動きが記されている。最初にアメリカについて著者はこう解説している。 世界の各国はいずれも、ただ自分の国家の保全ということだけしか考えないで、そのためにいわゆる弱肉強食といったようなことさえ平気でなして来たのでありました。 内にはあり余る資源を有して、それを充分に活用せず門戸を閉じてしまって、他国の容喙など少しも許
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