君は、人に命令したことはあるだろうか。僕はある。自覚的に、人に無理難題を課したことがある。 一切の後悔はない。必要な命令を下したと思っている。今でも彼が僕を慕っていてくれていることを証拠としても良い。しかし、彼から僕が好かれているかは不明瞭だ。信頼と、好意は、別物だ。 好かれたい。できれば、好かれたい。だが、自らの職責は信頼を得るべきだと思っている。いい人だけどね、は僕にとって最大限の屈辱だ。いい人ではないが、信頼できる上役でありたい。 僕への命令権を得た、君に伝えることはシンプルで、明瞭だ。 命令をせよ。判断をせよ。君の部下は君の手足だ。僕は君の足を引っ張るつもりはない。だが、君が今、ここにおいて邪魔だ。