ビジネスでも政治でも外交交渉でも、正論をぶつけて正面突破を図るだけでは事態が膠着することが多い。そうした時、カギになるのは「地政学的アプローチ」と「歴史的アプローチ」だ。大前研一氏が、地政学の重要性を解説する。 * * * 日本人は自国を取り巻く「地政学」と「歴史」をよく知らない。とくに戦中から戦後10年くらいにかけての期間は“真空状態”になっている。しかし、それを理解していなければ、外国との交渉で的確な判断を下すことはできない。 たとえば、もしドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領になったとしたら、どう交渉するか。 トランプ氏は大統領に就任すれば、アメリカが日本防衛のために支出している在日米軍駐留経費の全額負担を日本に要求し、日本が応じなければ在日米軍を撤収すると表明している。この発言に日本側では大騒ぎになっているが、慌てることはない。むしろ、日本には好機になりうるのだ。 日本の選択肢は2
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