山採りや島木が激減して以来、実生や接ぎ木、挿し木など人工的な育て方が増えてきた。自然任せの造形が特徴の山採りに対し、実生や接ぎ木は人の手で形を作り上げる。そのため、質のそろった松を大量に育てられるメリットがある。 黒松の手入れをする間嶋猛さん=高松市国分寺町、間嶋園 上質の素材大量に 高松市国分寺町、間嶋園の間嶋猛さん(59)は、黒松を実生から育てる名手として知られる。棚場の約8割が実生という園内には、樹齢40年以上の松が並んでいる。 自然界で少なくなってしまったいい松を人工的に作り上げる実生や挿し木は、ある程度の形に仕上がるまでに長い年月がかかる。それでも30年、40年ものになると、山採りにも引けをとらない風格が備わってくるようだ。 実生は、山採りがなくなるとともに、畑に苗木を植えてそれなりのものを育てようと始まった。昭和40年代半ばの国の減反政策が拍車をかけた。当時の国分寺は錦松が中心