記録的な猛暑が続いたこの夏、汗のついた衣類の洗濯に追われた方も多いことでしょう。機械化のおかげで、洗濯という家事は、かつてのような重労働ではなくなりました。しかしその一方で、私たちは、何でも洗濯機に任せてしまい、使った洗剤の行方にまで思いを致すことが少なくなっているかもしれません。 洗浄剤と家庭排水 手でもんだり、足で踏んだり、もっぱら人力を主体としていた洗濯が、機械に移行したのは、日本では1950年代の中ごろ。洗濯機と合成洗剤が登場してからです。その当時の洗剤の生産量は約11万トンで、2012年のそれは約110万トンといいますから、洗剤の使用量は、この60年間で10倍に増えたことになります。 それにつれて河川の発泡が見られるようになり、大きな社会問題になったのは1960年代のこと。その後、下水道の普及や合成洗剤の改良で、一時に比べて海や川はきれいになってきてはいるものの、排水による汚れが