『中世の罪と罰』を読んでいます。そのなかの、勝俣鎮夫「ミヽヲキリ、ハナヲソグ」について。 「ミヽヲキリ、ハナヲソグ」の言葉を見た時に何か思い出しましたか? この言葉で「お!」と思った人は、高校日本史の授業で扱われた史料の記憶が残っているのだと思います。史料の名前は「紀伊国阿氐河荘民の訴状(本文では「阿氐河庄上村百姓等言上状」としている)」。鎌倉時代の地頭の百性に対する非法行為を知るうえで最適の史料であり、そのため高校の授業では必ずと言っていいほど取り上げられるネタではないかと思います。 史料のなかで百姓は地頭の非法について次のように訴えます。 地頭が上京や作業があるといって課す人夫役が過重であること。その過重負担があるにも関わらず荘園の人々が荘園領主に課役として納める材木を伐り出しに山へ入ると、地頭はこれらの人々を負い戻して荘園内の逃散百姓の耕作が放棄されたままの田畠に麦を蒔くことを命じて
