伊藤忠商事がリチウムイオン電池事業を強化している。原材料から電池、電気自動車、電池再利用まで幅広く展開。収益を最大化するバリューチェーンを築き、世界展開を狙う。 伊藤忠商事の事業戦略のカギを握る3台のEV(電気自動車)が、5月から茨城県つくば市内を静かに走り始めた。 EVは、伊藤忠を中心とした環境関連事業の実証実験に使われている。急速充電器による電池への負荷、走行距離や利用頻度による電池の劣化具合などのデータを収集するのが目的だ。この実証実験が、実は伊藤忠の事業スキームの変化を象徴する。 従来の商社は、モノを商流に乗せて手数料を得る口銭ビジネスや、ベンチャー企業などを対象にした投資型ビジネスが主流だった。だが今回の事業は違う。実証実験からは、ある製品を中心にビジネスの上流から下流まですべてを押さえ、それぞれの相乗効果で収益を最大化するバリューチェーン型とも言える新事業の姿が見えてくる。 そ