豊田章男(敬称略、以下、章男)の横顔を知る経済ジャーナリスト片山修が、書き下ろす特別連載。トヨタを巡るニュースの深層について、全5回でお届けする。 (前回の記事:トヨタを抜いたテスラ 100年に一度の変革期に豊田章男が掲げる「理想」) 3回目は、章男と意外な共通点をもつイチローが登場。2人は知人を通じて、2014年1月に出会った。章男にとって、イチローは素顔をのぞかせ、共鳴し合える相手でもある。その関係性から見えてくる、章男の心の内に隠された思いとは──。 章男がドライバーとして走る理由 豊田章男はなぜ、ドライバーとして走り続けるのか。それは、イチローがバッティングフォームを磨き続けるのと同じだ。 イチローは現役時代、毎年、バッティングフォームを変えてきた。首位打者になっても、安打数が過去最多を記録しても、イチローは次の年にはバッティングフォームを変えてしまう。バッティングフォームに完成形