『ガリンペイロ』(国分拓 著)新潮社 ブラジル・アマゾン川流域の奥地にある、名前を口にしてはいけない場所。そこには、《黄金の悪魔(ジャブ・デ・オーロ)》と呼ばれる男が所有する闇の金鉱山と、一発逆転を狙う荒くれ者たちがいた――。本書は2016年に『NHKスぺシャル』で放送された「大アマゾン」シリーズの第二集「ガリンペイロ 黄金を求める男たち」を書籍化したノンフィクションだ。 「最初にガリンペイロ=金掘り男の存在を知ったのは、1999年に環境問題の取材で、ブラジルに行ったときです。ある川の奥深くに、川底を攫(さら)って金を取っている男たちがいる、と耳にしました。実際に向かうと、おびただしい量の船と、船上で暮らす人々がいた。奥地なので他になにもなく、船上に雑貨屋や娼館までありました」 いつか取材したい、との思いを持った国分さんは、2014年、「大アマゾン」の取材で同じ場所に向かった。しかし、到着