先進国には「秩序の美」があるが、新興国には「混沌の美」がある。異文化マネジメントの専門家エリン・メイヤーが、スウェーデンとインドでの経験を対比させながら文化の多様性を示す。 12月のある寒い朝、ストックホルムにいた私は小刻みに足踏みしながらバスを待っていた。バスが到着し、ドアから一番近くの女性が急ぎ足で乗り込もうとする。ホッとしながらその後に続こうとすると、私に向けられた怒りの咳払いが否応なく耳に入った。バスを待つ他の人たちが何となく列をつくっていたことに、私は気づいていなかったのだ。列に割り込むことは、たとえわざとでなくても、スウェーデンの文化では許されない。 スウェーデンのように直線的な時間の文化を持つ国では、物事は1度に1つずつ、正しい順序で行うことが重視される(ドイツ、米国、日本、英国なども同様)。それは、会議のように平凡だが重要なことにも当てはまる。会議はスウェーデンの待機列のよ