禁断の質問技法がある。その名を誤導質問という。 誤導質問というのは、質問の前提に誤った事実を挿入することによって、自分の意図した証言を引き出そうというものです。誤導質問とは、たとえば次のような質問です。 弁護士「この商品がなぜ評判がよいのか、証人は知っていますか」 相手弁護士「異議あり! 誤導質問です。この商品の評判がよいことは証明されていません。それ自体が本件裁判の争点となっているものです」 (谷原誠『人を動かす質問力』、角川oneテーマ21、2009年、114ページ) 実に巧妙に組み立てられた質問だ。うっかりこの質問に対してYesと答えてしまえば、そもそもの争点のはずの評判の良さを認めることになる。そして恐ろしいのは、仮にNoと答えても、同じく評判の良さは認めてしまうこと。つまりYes、Noいずれで答えても、質問した弁護士は意図通りの答えを得ることができるのだ。 その理由は、おわかりだ