■引き揚げ時、税関が保管 終戦後、旧満州の引き揚げ者から税関が預かっていた貯金通帳などが5日、愛媛県宇和島市住吉町の松山税関支署宇和島出張所で、西予市宇和町の井上靖夫さん(76)に返還された。同出張所での返還は3年ぶり。 井上さんは昭和21年7月、旧満州の鞍山市から、満鉄に勤務していた父の通さんと一家5人で日本に帰還した。 この日、返還された奉天郵便局の通帳には、子供のために毎月5円から20円を積み立てていた金額が記されていた。67年ぶりに通帳など9点を受け取った井上さんは、「父が子供の将来のために積み立ててくれた証です」と、声を詰まらせた。 税関は昭和28年から、引き揚げ者から預かった紙幣や証券類の返還事業を進めているが、昨年末時点で、約27万人分が全国の税関に眠ったままとなっている。新聞報道で返還を知った井上さんが税関に連絡。通さんと靖夫さん名義の保険証書が見つかったことから、返還が実