フランスで今年初めに出版された1冊の「近親姦」告発本が、同国社会を激震させている。容疑をかけられているのはパリの知識・文化界の頂点に君臨していた人物。彼の継娘が沈黙を破り、長年隠されてきたエリート一家の「恥部」を容赦なく描き出した。 口にできない秘密は書き記すしかない きゃしゃな体つきに澄んだ目をした1人の女性が、フランス社会を大きく揺るがしている。 カミーユ・クシュネル(45)は長い間、罪悪感に苦しんできた。痛ましい家族の秘密から自分を解放しようとする彼女の闘いは、フランス中を動揺させている。 クシュネルは何十年間も身動きできないと感じていた。 「罪悪感は蛇のようなものだ」──近親姦と性的虐待を告発し、フランスの名門一家の実態を容赦なく描き出した自著『ファミリア・グランデ(大家族)』で、彼女はそう綴る。 罪悪感は「毒」で、多頭の怪物「ヒュドラ」だった。「頭と心のあらゆる場所」に侵入し、つ
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