「デモクラシーは有権者の自画像を描くのだから、日本人の民度が低い以上、政治家が無能なのは仕方がない」という意見をよく聞きます。もしこれが本当だとすると、私たちの「民度」が上がらなければずっとこのままということですから、どこにも救いはありません。この“自虐的”政治観から抜け出す道はないのでしょうか。 議論の前提として、日本人の民度は低いかもしれないが、それ以外の国もだいたい同じようなもの、ということを確認しておきましょう。 自由とデモクラシーの理想を体現したとされるアメリカでは、有権者の約半数は各州に上院議員が2人いることを知らず、4分の3はその任期を答えられません。半数以上の人が自分たちの州の下院議員の名前を挙げることができず、40%は2人の上院議員の一方すら知らない、という調査結果もあります。そのためアメリカの政治学では、「こんなに民度が低いのに、なぜ民主政はそれなりに機能しているのか」