埼玉県狭山市で1963年、女子高校生が殺害された「狭山事件」で、強盗殺人罪で無期懲役が確定し、仮釈放された石川一雄さん(70)の第3次再審請求を巡り、東京高裁(門野博裁判長)は16日、検察側に証拠開示を勧告した。対象は(1)殺害現場とされる雑木林で血痕の有無を調べた報告書(2)雑木林近くにいた男性の証言に関する捜査記録(3)石川さんの筆跡鑑定に使われた文書(4)石川さんの取り調べ時のメモ--など。狭山事件の再審請求で、証拠開示勧告は初めて。 弁護側は06年、これらの開示を求めたが、東京高検は今年10月、血痕調査報告書について「見当たらない」、その他は「存在を明らかにする必要はない」との意見書を出した。 確定判決では、自白に基づき雑木林が殺害現場とされ、被害者方に届いた脅迫状と石川さんの筆跡が警察の鑑定で一致したとされる。一方、雑木林近くにいた男性が「人影も悲鳴も見聞きしていない」と証言した