宇都宮大学教授 中村祐司 これまでの日本における地域とスポーツとの「密着」関係に注目すれば、かつては社会体育という用語に代表されるように、あくまでも学校体育の社会版、すなわち成人に対する教育の一環として進められてきた側面が強かったのです。 また、競技スポーツにおける企業所属の実業団チームの運営の場合、社員のみならず地元住民による応援に支えられるという意味での郷土愛的な地域性は色濃かったものの、それらはあくまでも右肩上がりの業績を前提にした企業活動に依存したものでありました。 プロスポーツにおいても、たとえば人気スポーツである野球は、一昔前までは親会社あっての球団経営の時代が長く続きました。在京球団といわれるように、親会社の拠点がそのままチームの拠点となり、多くの集客数が確保できることから、チームは東京、名古屋、大阪といった大都市に集中しました。それでは地域密着型スポーツはスポーツをめ