ウクライナ戦争と国連「軍縮アジェンダ」 ウクライナ戦争を奇貨として日本政府は、戦後の防衛政策の大転換となる「敵基地攻撃能力」の保持に踏みだし、今後5年間で防衛費に43兆円もの巨費を投入するという防衛力整備計画を打ち上げた。しかし、こうした大軍拡の方針は、ウクライナ戦争から誤った結論を導き出したと言わざるを得ない。この戦争の歴史的な背景については無数の論争が交わされているが、概ね二つの見方に分けることができるであろう。一つは、ロシア帝国の再現を夢想するプーチンの野望の現れとする見方であり、二つは、侵略を批判しながらも米国主導の「NATOの東方拡大」がプーチンを追い込んだとする見方である。おそらく現実は、これら二つの要素が複雑に交錯して戦争が展開されているのであろう。 ただ、こうしたロシアやウクライナ問題の専門的な見地を離れて捉え直してみるならば、問題の本質を鋭く抉りだすのが、「無秩序で際限な