【北京=矢板明夫】「尖閣諸島(中国名・釣魚島)が中国領土であることを証明する決定的物証」と宣伝された清朝の古文書が、北京市内のオークションにかけられ、1325万元(約1億6600万円)で落札された。日本人が購入して「決定的物証を隠滅する」のを防ぐために、オークションの主催者は「外国人による入札は禁止」と事前に発表し話題を集めた。 この古文書は、清朝の文学者である沈復の散文「海国記」を同時代の書家、銭泳が抄録したもの。山西省在住の学者が20日のオークションに出品した。 19世紀初め、清の使者が琉球を訪問した際、「途中で釣魚島を見た翌朝、琉球国境に入った」などの内容が書かれていた。 尖閣諸島が日本領に編入されたのは1895年であることから、主催するオークション会社、中招国拍は「日本人より早く尖閣諸島を発見した証拠」と主張。「国家の主権にかかわる文物なので、外国資本の入札を禁止する」と発表した。