山折座長と対談していただく最初の有識者は、鷲田清一先生です。4回に分けて日本の教養の系譜と、西洋の教養との違いを語ります。今回は、第4回[最終回]です。 ※対談(第1回): 日本人の教養と、根深い西洋コンプレックス ※対談(第2回): 教養をめぐる、経済界トップの勘違い ※対談(第3回):現代の科学者には、どんな教養が必要か? コンテキストとネットワーク 鷲田:これまで、江戸時代、明治、戦後の教養について語ってきましたが、そのどれにも共通して目指したものがあると思います。 ひとつは、あるものに直面したときや、あるものを見たときに、どれだけコンテキストを持っているかということです。つまりひとつの事柄に対して、「こういう視点から見ると、こういうことが見えてきて、こういう問題も見えてくる」というふうに、どれだけたくさんのコンテキストを持って見られるかです。 もうひとつは実践的なことで、ある事柄を