小栗左多里『ダーリンは外国人』(1~2巻) イタリアとハンガリーの血をうけつぎ、アメリカで育った男性トニーと著者との結婚生活をつづった、王道のエッセイ漫画。 この本(1巻)にかんするAmazonのカスタマーズ・レビューは53もあるのだが(2004.9.25時点)、しばしば散見される感想として、「国際結婚、外国人の夫との異文化接触の話と思って期待したのに、フツーの男の人じゃん!」というもので、そういう感想はたいてい「トニー個人が面白いだけ」的にまとめてある。 それもそのはずで、トニーには語学的障壁がほとんどなく(日本語ペラペラ)で、おまけに、おそらくトニーの知性から生じきたっている寛容、すなわち相手をモメントに落とせるという行為が、(ある種の読者が期待しているような)荒々しい異文化衝突を回避しているのだ。 したがって、ぼくも「外国人もの」を読んでいるというふうには全然思えなかった。 にもかか