「いつも家族のためにありがとう」 と、一昨日の夜、急に娘が言い出した。 「へ?」 と聞き返すと、やっぱりまた、 「家族のためにありがとうな、ママ」と。 ははん。保育園の先生か絵本かなにかに ふきこまれてきたのね。 いかにも優等生の台詞。 苦笑しながらも、 「こちらこそ、そんなこと言ってくれてありがとう」 と答えると、嬉しそうに顔をほころばす。 まったく、なんていい子ちゃんなんだろう。 むかし、といっても今の娘よりは大きくなってからだけど、 心の中がねじれまがった子どもだった私は、 『いい子ちゃん』がきらいだった。 というより、ねたんでいた。 うらやましかったのだと思う。 ねじれた視線でみる小さな世界は どこかゆがんでいて、 いつも酔ったようにふわふわ 不安でいっぱいだったような気がする。 大人になってからも、そのふわふわは ずいぶん長いことつきまとっていたのだけど。 年を重ねるうちに気づけ