今の時代において、小谷美紗子ほどその言葉が求められているシンガーソングライターというのはいないのではないだろうか。<やさしさは苦しみの中から生まれる>と歌った“眠りのうた”を例に挙げるまでもなく、小谷はこれまで常に悲しみから目をそらさず、その本質を見つめ続け、それを最終的にはポジティブに解釈し、希望として歌を届けてきた人である。前作『ことの は』からは3年半ぶり、フルアルバムとしては『OUT』以来実に6年半ぶりで、震災後は初の正規作品となる新作『us』には、そんな希望を歌う表現者としての小谷がより明確に表れている。つまり、この作品は小谷にとって決して「変化」の作品ではなく、あくまでその強度が増した作品なのだ。それは今までと何ら変わることなく、それでいて格段の進化と深化を遂げた、玉田豊夢と山口寛雄とのトリオ編成の演奏にもはっきり表れていると言っていいだろう。 とはいえ、震災以降の2年半が、小
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