「SY-1」の発売から遡ること5年、エレクトーンとは異なるバンド向けのオルガンとしてヤマハコンボオルガン「YCシリーズ」が発売されます。エレクトーンでは上下2段の鍵盤に加えて足鍵盤を備えており、基本的に一人でアンサンブルを構成して演奏するスタイルでしたが、1段鍵盤のみの「YC-10」をはじめ、可搬性に優れた新ジャンルのキーボードとして注目を集めました。 この「YCシリーズ」は、コンセプト面、技術面ともに現在のシンセサイザーに多大な影響を与えていると言って良いでしょう。1960年代はビートルズやローリングストーンズなど、バンド形態の音楽が世界中に浸透し始めた時期でもあり、教会やホールなどに常設されるオルガンから可搬性に優れたステージ用のオルガン需要が高まっていきます。「YC-10」は49鍵の1段鍵盤に4色のカラーバリエーション、スーツケース型に収納できるコンパクトな設計など、まさに次世代のオ