近田春夫/考えるヒット 抜粋 大昔には、職業音楽家なんて、存在してなかったんです。職業としては成り立っていなかったから、普段は別の仕事をしていて、お祈りのときだけ歌うとかね、歌を歌うといっても、そのくらいのものだった。それが西洋の合理主義的な社会の構造の中で、音楽というのは権利とか契約が関わってくるものなんだ、お金と結びつく仕事なんだということになってきた。 だけど、これから先、それがそうじゃない形にもう一度なるかもしれない。僕には、そんな気がするんですね。だから、いまみたいな状況は、そこにいたるプロセスとしては、案外いいことなのかもしれないって。誰も音楽では儲けることができなくなって、本当に好きでやってる人たちだけが残される。 考えるヒット (文春文庫) 作者: 近田春夫 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2000/12 メディア: 文庫 日本には、昔からお年玉があるでしょう。西欧